大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)871 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人小林直人の上告趣意について。

刑事訴訟法第七編に規定する略式手続が憲法に違反するものでないことは既に当

裁判所の判例(昭和二三(つ)第二号、昭和二三年、七、二九、大法廷決定参照)

とするところであり新刑事訴訟法においても略式手続を存置しているのである、原

審は略式手続が違憲であるとしても刑事訴訟法第五二五条の規定は何等違憲のもの

ではないから略式命令の請求が違憲であるとすれば同法条によつて通常の規定に従

い事件を審判すべきである、元来公訴の提起と略式命令の請求とは別個のものであ

り観念上可分的関係に立つものであるから略式命令の請求が違憲であつてもそれが

為めに公訴の提起までが当然不適法にはならない、本件における公訴の提起は刑事

訴訟法第二九一条所定の要件を充たした適法のものである。故に本件公訴は不適法

としてこれ棄却すべきではなく通常の規定により審判すべきであるとの見解に立脚

して、第一審判決を破毀差戻した第二審判決を相当なりとしたのであり論旨は原審

の右見解に反対し略式手続の規定の全部が違憲で無効で無効であることを主張する

のであるが、略式手続が全面的に違憲でないことは冒頭説明のとおりであるから論

旨の見解の採用すべきでないことは言うまでもないのであるが原審の見解も亦当を

得たものではない、即ち略式手続が違憲でない以上略式命令の請求のあつた場合に

略式命令によるか又は通常の審判手続によるかは刑事訴訟法第五二五条により第一

審が当該事件につき諸般の事情を勘案して決すべきものであるに拘わらず原審は本

件公訴は通常の規定により審判すべきことを判示しているのであるからこの点に関

する原審の見解は不当である、然し原判決が本件公訴を不適法として棄却すべきで

はないと判断した点は正当であつて従つて原審が本件第一審判決を破毀差戻した第

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二審判決を維持し上告棄却の判決をしたことは正当である、右の如く原判決の理由

に不当な点があつても原判決の主文が結局正当な場合には原判決を破毀する必要は

ないのである、ただ第一審裁判所としては第二審判決に示されたところにより通常

手続で審判するのではなく略式手続が適憲なものとして略式命令によるか通常の手

続により審判するかを自由に決定し得るものであることを注意すべきであり、以上

説明したところにより論旨は理由なきものである

よつて本件上告は理由がないから刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決す

る。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

検察官 長谷川瀏関与

昭和二三年一二月一一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

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